更新日:2024年10月16日

ドライヘッドスパの施術をする女性講師

ドライヘッドスパをしてはいけない人|死亡の危険性と禁忌

スクール受講生から「ドライヘッドスパと検索したら死亡と出てきました。そんなことはあるのですか?」と聞かれました。今回はドライヘッドスパの危険性や死亡事故に至るときについて解説します。

執筆者:一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会 理事長 江口征次

ドライヘッドスパで死亡事故はあるか?

現時点において、リラクゼーションサロンでのドライヘッドスパによる死亡例は確認されておりません。

 

死亡例がないからといって、“安心・安全”、“受けても大丈夫”という訳ではなく、ドライヘッドスパを受けてはいけない人、すなわち、施術の禁忌事項の確認が必須となります。

 

スクール講師の画像
スクール講師として、これからドライヘッドスパを学ぶ人にお伝えします!

 

出典画像:Mirror|タイの妊婦死亡(足裏マッサージ)
出典画像:Mirror|タイの妊婦死亡(足裏マッサージ)

実際に起きてしまった死亡例

日本ではなくタイのチェンマイで、妊婦が足裏マッサージを受けている最中に意識不明になり流産した。その後、意識が回復することなく、半年後に息を引き取った。

 

妊婦がマッサージを受けることの危険性が浮き彫りになったと、イギリスのニュース記事The SunやMirrorなどで報じられた。

 

この妊婦さんは、肺の血管が詰まる肺塞栓症(はいそくせんしょう)と脳に血液が行き渡らなくなる虚血性脳卒中を起こし脳死と診断された。

 

その後、生命維持装置によって半年の間、延命されたが回復の見込みがないため、ご家族の意向で生命維持装置が外されることとなり息を引き取った。

出典画像:Mirrorhttps://www.mirror.co.uk/news/world-news/pregnant-woman-dies-six-months-18578227

 

マッサージによる主な死亡要因

マッサージや整体による死亡例は極めて稀ですが、いくつかの原因で発生することがあります。一般的な要因としては、以下のものが考えられます。

  • 血栓による肺塞栓

仕事や移動で長い時間座ったままの方、ギプスの固定などで体をあまり動かせない方、または妊娠中の方(血が固まりやすい)など、血栓症のリスクがある人は、マッサージで血液の流れが急激に促進され、血栓が肺に移動してしまう可能性があります。これにより肺塞栓が発生し、重篤な場合には死亡に至ることがあります。

 

  • 椎骨動脈解離

首のマッサージで強い圧力がかかると、首の血管の内壁が裂ける椎骨動脈解離が発生することがあり、突然の激しい頭痛を起こします。病院での処置を速やかにしなければ、血栓が詰まり、脳梗塞や脳卒中を引き起こすことがあり、死に至る可能性があります。

 

  • 肋骨の損傷

大げさな話ではなく、高齢者や骨粗鬆症など骨が弱っている人に対して、強い圧力をかけたマッサージをすると、肋骨が折れる可能性があります。肋骨の骨折が肺や他の内臓に損傷を与えた場合、合併症が生じ死に至る可能性もあります。

 

  • 感染症

不衛生な環境や器具、備品の使用によって、感染症引き起こす可能性があります。発熱や下痢、皮膚や筋肉の痛みなど症状は様々でウイルスや細菌などの病原体が全身に広がり敗血症を引き起こし、死亡することがあります。

 

  • 心臓発作

心臓病の既往歴がある人や高血圧の人は、マッサージによる血圧の変化が心臓への負担となり、最悪の場合、心臓発作を引き起こす可能性があります。

 

美容室のヘッドスパで脳卒中のリスクあり

当スクールには、美容師さんも多く学びに来られますが、意外と知られていないのが「美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)」です。

 

美容院でヘッドスパやシャンプーを受けている時に、吐き気やめまいがして気分が悪くなる、手や足の痺れだすと、美容院脳卒中症候群の可能性があります。

 

施術後も頭痛やふらつきなどの症状を起こすことがありますが、重篤な症状に進行したり後遺症が残ることはほぼ無いようです。

シャンプー台に寝そべる女性客

美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)の原因

施術者にとっても、意識を失う可能性さえある美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)が目の前で起こるのは悪夢のようです。

 

何より、大切なお客様に安全なサービスを提供したいものです。

 

美容院脳卒中症候群は、シャンプー台(シャンプーボール)に首をのせて、首が後ろに反ってしまうことで、首の血管が圧迫され脳に届くはずの血流が低下することによって起こります。

ヘッドスパを受けるリスク

通常のシャンプーより、長くシャンプー台に首をのせるがヘッドスパですから、その分、美容院脳卒中症候群のリスクも高まります。

 

シャンプー台がフラットになるタイプであれば、まだ良いのですが、角度によっては首が圧迫されるシャンプー台もあります。

 

ヘッドスパを受けに行って、首の状態がきついと感じたら決して我慢せず、担当者に申し出てください。

 

長時間のヘッドスパを行う際は、タカラベルモントのYUMEシリーズなどヘッドスパ専用のシャンプー台がおすすめです。

 

ヘッドスパが癒しの施術とはいえ全くリスクが無いものではありません。

 

スクール講師の画像
私は美容師向けのヘッドスパ担当ですが、シャンプー台で意識を失ったお客様がいたと受講生に聞いたことがあります。

 

ドライヘッドスパの禁忌(受けてはいけない人)

以下の項目に当てはまる方には施術を行わないでください。

 

リラクゼーションサロンは、正確な検査、診断ができないため、大袈裟なぐらいが丁度よいとされます。

 

異変を感じたらセラピストの判断により施術を中止してください。

 

炎症やケガ、腫れがある方

施術により悪化する恐れがあります。施術の前に必ず確認しましょう。

 

飲酒、または泥酔している方    

施術によって、アルコールの巡りが良くなり、気分が悪くなる恐れがあります。

 

風邪などで熱がある方    

施術をすることで高熱に変わる場合があるため危険です。

 

妊娠している、または、妊娠の可能性がある方       

好転反応が強く出た場合は危険です。何かあってはいけないためお断りしましょう。

 

骨や関節などに問題がある方

骨粗しょう症で骨が弱っている場合は、デコルテの施術など注意が必要です。椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など、リラクゼーション サロンの業務範囲外です。

 

手術後、間もない方

いつから施術できるなど、セラピストは判断してはいけません。 原則として医師の許可が必要です。

 

その他

持病があるなど、施術を受けることに不安がある方は、医師に 相談しましょう。

 

スクール講師の画像
当スクールの受講生の話。妊娠中に足つぼマッサージを受けて大量出血した方がいます。その後、流産することなく無事でしたがセラピストが聞いてもゾッとする話はあります。

これからドライヘッドスパを学びたい方に読んでほしいのページ

ドライヘッドスパの勉強をしたい方におすすめの勉強法

 

損害リスクがある施術の様子

業務上過失による損害賠償

セラピストの判断で施術を行い、その結果、体調に異変があった場合は、同意書があっても業務上過失とみなされ、賠償責任が生じる可能性があります。安全な環境で無理のない施術を行いましょう。

 

骨や関節、神経などを痛めた場合などを痛めた場合は高額の損害賠償が必要となります。

 

特にヘルニアの悪化による痺れの後遺症が残った場合などは、過去の判例により、3000万円を超える高額の損害賠償を請求されるリスクが生じます。
スクール講師の画像
ハイリスク・ハイリターンのリラクゼーションなどありません。安全で尚且つ効果的な施術をしてください。

 

セラピストの施術保険

ヘッドセラピストは、お客様の体に直接触れるお仕事です。

 

お客様を施術する際に何らかのトラブルが発生する可能性は少なからず想定しておきましょう。

 

そんな時にセラピストの保険(サロン保険)に入っていれば、保険会社が代わりに補償してくれるので安心です。

 

個室やマンションの一室など、お客様と一対一で向き合うこともあり、施術事故は密室の出来事です。

 

保険加入は強制ではない任意ですが、もしものために入っておくことをお勧めします。

 

スクール講師の画像
月額2000円程度で加入できますので各保険会社の資料を取り寄せてくださいね。

 


執筆者:ドライヘッドスパ専門家江口征次

この記事の執筆者

一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会

理事長 江口 征次

癒し以上を提供するドライヘッドスパ・ヘッドマッサージの専門家

2010年よりヘッドセラピスト養成講座を開始し、日本全国、海外からも受講がある人気講座を主催している。

資格が取れるドライヘッドスパ講座