更新日:2024年10月23日

ドライヘッドスパを行う男性講師

ドライヘッドスパはよくない理由は何ですか?否定派が語る理由とは

「ドライヘッドスパはよくないって聞きましたが本当ですか?理由は何ですか?」といったご質問にスクール講師がお答えします。

 

ドライヘッドスパに対して否定的な意見、気になるデメリットは何でしょうか?

執筆者:一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会 理事長 江口征次

個室でドライヘッドスパを受ける女性の画像

ドライヘッドスパはよくないって本当?

私がサロンをオープンした2010年ごろ「ドライヘッドスパはよくない」「ドライヘッドスパは受けないほうがよい」と言っている一部の人がいました。

 

頭をほぐしたら、気持ちがいいし、スッキリするし、ぐっすり眠れて癒し効果は抜群なのですが、ドライヘッドスパ否定派の人がいるのは本当です。

 

なぜそのような意見になるのでしょうか?

スクール講師の画像
技術の精度やホスピタリティを高めて、より良い接客サービスが行えれば幸いです。

ドライヘッドスパ否定派が語るよくない理由とは

ドライヘッドスパを良くないと思っている一部の人たちが語る理由は、

 

「ドライヘッドスパはジョリジョリと音を立てるほどの摩擦で髪が痛む」

 

「キューティクルが傷つくからやめたほうがよい」

 

「せっかくトリートメントなどのヘアエステをしても意味がない」

 

など主に髪へのダメージが挙げられます。

 

初めて知った人もいると思いますが、私(江口)が東京・大阪・名古屋・福岡のスクール会場で「否定派はこんな意見です」とお伝えすると「私も聞いたことがある」という生徒さんが全国各地にチラホラといます。

ドライヘッドスパとウェットヘッドスパの施術画像

ヘッドスパとドライヘッドスパの関係

ヘッドスパという言葉が世に出たのは2002年です。

 

タカラベルモント株式会社によって造られた言葉で、主に美容院・理容院向けのシャンプーマッサージのことをヘッドスパとよびます。

 

その後、約7~8年遅く使われだした言葉が、水もオイルも使用しないドライヘッドスパです。

 

リラクゼーションサロン・マッサージ業界の本来の呼び名は、ヘッドマッサージや頭ほぐしですが、ドライヘッドスパは美容院・理容院で行うヘッドスパと対照的に使われる造語として用いられます。

 

その影響もあってか、今度はヘッドスパのことをウェットヘッドスパと表現することも増えました。

 

関連:資格を取るならドライヘッドスパ専門店考案の講座で学ぶべき?

 

本当にドライヘッドスパで髪は痛むのか?

確かに髪の毛をジョリジョリと擦り合わせてほぐすとキューティクルが痛みます。

 

それは、私の体験談もあり、“本当です” 間違いありません。

 

受講生とのドライヘッドスパ練習を1日270分×3日連続して受けた時は、枝毛や切れ毛を起こしました。

 

手技に慣れていない未熟なうちは、仕方がありません。

 

指が力んで頭皮をとらえることができず、髪をジョリジョリとしてしまうものです。

 

そのまま何日も連続して未熟なドライヘッドスパを受けていたら、毛根がつぶれて頭が禿げてしまってもおかしくありません。

 

あなたが、今後どこかのサロンで髪をジョリジョリするドライヘッドスパに当たった場合は、残念です。

 

それは間違いなく、髪のキューティクルを痛めるドライヘッドスパです。

 

ドライヘッドスパの授業風景(東京会場)

否定されないドライヘッドスパのやり方

プロのヘッドセラピストの立場からでも、受けない方がよいドライヘッドスパはあります。

 

大前提として頭をほぐす時は、素手で直に頭皮に触れます。

 

タオルや手ぬぐいの上から行ってしまうとジョリジョリと摩擦を起こす原因になります。

 

素手で行ったとしても技術が未熟な場合は、頭皮がうまくとらえられずにジョリジョリと音を立てって擦ってしまいます。

 

ドライヘッドスパの練習は、頭皮をしっかりとらえて、ジョリジョリしないことが基本中の基本。

 

最初にしっかり身につけたい技術です。

 

これだけは守ってほしいこと

・タオルや手ぬぐいの上から施術をしない

・頭皮を直にとらえて擦らずに頭皮を動かす

※ジョリジョリとした音がしたら失敗です。

 

スクール講師の画像
セラピストによって施術方法が異なるのもリラクゼーションサロンの魅力ですが、髪や頭皮に優しい施術がいいですね。

 

髪を痛めないウェットヘッドスパ施術の画像

ウェットでのヘッドスパは髪を痛めないのか?

主に美容室やヘッドスパ専門店でシャンプーマッサージをするのがウェットタイプのヘッドスパです。

 

ウェットタイプのヘッドスパは、髪に水分を含んでいる状態になり、髪が膨張すると同時に柔らかくなります。

 

髪がデリケートな状態でのウェットタイプのヘッドスパは、髪のダメージを考えるとドライヘッドスパよりも摩擦に対して脆くなります。

 

ドライにせよ、ウェットにせよ、髪に負担がかからないように施術する技術や配慮が必要となります。

 

スクール講師の画像
ウェットのヘッドスパは頭皮の洗浄や髪を綺麗にしたいという目的で受けることが多いと思います。

頭皮や髪に良い商材を使用しても、髪を擦り合わせるような施術だと少し残念ですね。 

 

ヘッドスパを含むマッサージの危険性

ドライ・ウェットに関わらず、マッサージそのものが危険であり、特に首のマッサージが危険といった考えもあります。

 

首、特に首根っこ(上部頸椎)は、自律神経に強く影響が出る部分です。

 

間違った方法で、過度な刺激を与えると、交感神経と副交感神経のバランスを崩し、自律神経失調症(不定愁訴)を引き起こすことが懸念されています。

 

また、首の血管内部にある血栓がマッサージの刺激により剥がれ、脳の血管に詰まる脳梗塞になる可能性もあります。

 

その他には、美容院、理容院では、お客様が意識を失うこともある美容院脳卒中症候群(スタンダール症候群)にも注意が必要です。

 

スクール講師の画像
首は危険だから触らないというセラピストもいます。その判断も間違ってはいませんが、出来る人からすると勿体ない気がします。

 

関連:信用、信頼できる魅力的な資格講座・ドライヘッドスパスクールとは?

首根っこ(上部頸椎)のマッサージのやり方

デメリットがあるからマッサージはしない方が良い?受けない方が良い?

マッサージのデメリットを知って、「ドライヘッドスパを受けるのが嫌になった」「施術をするのが怖くなった」といった意見が出るのは本意ではありません。

 

私(江口)は、まったくの未経験の主婦、社会人の方から現役のセラピスト、サロンオーナー、美容師さん、医療関係者など、挙げればきりがないほど、首の揉みほぐしを指導しています。

 

また、スクール講師として、首のほぐしを14年以上、毎月何度も受けていますが何の問題もなく過ごせています。

 

私だけではなく、スタッフ達もそうです。

 

施術事故がないのは、ラッキーなだけでしょうか?

 

少なからず、どのような施術にもデメリットはありますが、施術に対する禁忌事項を守り、安全な首のマッサージをしているサロンは世界中に存在します。

 

しかし、そんな中、施術事故を起こすサロン・セラピストがいるのも事実です。

 

「デメリットがあるからマッサージしない」といった考えは間違えていません。

 

ただ知っていただきたいのは、マッサージをして血栓が脳血管に詰まるような人の場合、自ら運動をしても、ストレッチをしても血栓は剥がれ、脳血管に詰まる可能性は十分にあるということです。

 

なぜなら、マッサージとは、他者(セラピスト)による筋肉や関節の強制運動だからです。

カウンセリングシートによる禁忌の説明

禁忌事項の設定とご案内の徹底

 

特にデメリットが強いとされる首ですが、その分、しっかりほぐすことができれば、非常に喜ばれる部分でもあります。

 

ドライヘッドスパ・ウェットヘッドスパは、首(上部頸椎)のほぐしは必ずといっていいほど、どこのサロンも含まれています。

 

首(上部頸椎)のほぐしを施術の強み、お客様のメリットにしていけると勝ち組サロンです。

 

ただし、首のマッサージに限ったことではないですが、必ず、禁忌事項を守り、安全な施術を行いましょう。

 

エジプトの壁画にもあるように、マッサージは、4000年以上前から行われている歴史あるものです。

 

本当に危険であれば、誰も行いません。

 

一部の人にとって危険なだけなので、その一部の人に施術をしないように禁忌事項の設定とご案内の徹底が必要になります。

スクール講師の画像
マッサージによる事故、死亡例があるのはご存じですか?参考:ドライヘッドスパをしてはいけない人|死亡の危険性と禁忌

 

その他、ドライヘッドスパのデメリット

水やオイル・クリームを使用しないドライヘッドスパは、気軽にご利用いただけることから人気のリラクゼーションメニューです。

 

ドライヘッドスパを含め、リラクゼーションマッサージは、事故が多発するような施術ではありません。

 

そのうえで、前述では髪やキューティクルへのダメージと、マッサージを受けるリスクについてお伝えしました。

 

次は、他に考えられるドライヘッドスパのデメリットについてお伝えします。

 

頭皮が傷つく恐れがある

担当するヘッドセラピストの爪が長い場合、頭皮を傷つける恐れがあります。

 

また指の形状により、爪の白い部分をすべて切っていても、指先より爪が突出しているヘッドセラピストもいます。

 

当スクールでは、頭頂部のツボ押しは、指先を立てた状態で体重を乗せ、針で刺すように刺激するPNP法を推奨しています。

 

PNP法は、ツボの概念を超えて頭頂部のトリガーポイントを刺激します。

 

筋膜や頭蓋骨を緩める手技テクニックのPNP法を行うには、爪を短く切っておく必要があります。

 

神経を痛める恐れがある

長年、スクール講師をしていると全国の事例を耳にします。

 

ドライヘッドスパで三叉神経(顔面神経)を痛め、まぶたから額にかけての痺れを起こしたり、唇が痺れたりなど、全国的には少なからず事故(業務上過失)が発生しています。

 

いずれも軽症と思われますが、軽症とはいえ神経を痛めると7~14日程度、痺れが残ることがあります。

 

大きなクレームに発展して、弁護士が入るなど賠償問題・訴訟に発展する可能性があります。

 (示談になると口外禁止条項を入れるためネット等には書かれていません)

 

側頭部のゴリゴリした部分を指先で強くほぐす、または、しつこく何度も繰り返し行うと三叉神経(顔面神経)を痛めるため、スクールで学んだ通り安全な施術を行ってください。

 

揉み返し、揉み起こしがある

筋肉に対して、必要以上の刺激を与えるのはいけません。

 

弱い力であっても局所的に何度も繰り返し刺激すると、揉み返し(揉み起こし)の原因になります。

 

お客様にはなるべく脱力していただき、気持ちいい、または、イタ気持ちいい程度に施術します。

 

ドライヘッドスパは、途中で眠ってしまうお客様が多いため、カウンセリングの際に頭皮チェックをして、力加減を聞くなど対策をしてください。

 

頚椎椎間板ヘルニアが悪化する

ドライヘッドスパの施術中や施術後に腕や手の痺れが発生すると、頚椎椎間板ヘルニアを悪化させた可能性があります。

 

現時点で、そういった実例は聞いたことがありませんが、頭頂部から頭を強く押すことは禁物です。

 

強く押し過ぎていないかを見分ける方法として、指で押すたびに首が縮こまっている時は押し過ぎと判断します。

 

特に脳疲労により、五感異常を起こしているお客様は注意が必要です。

 

そのようなお客様は、頭頂部を強く押されても痛みを感じにくいため、セラピストが目視により客観的に判断することが必要なります。

 

施術事故を起こした後に「お客様がもっと強く押してと言ったから強く押した」と言っても、業務上過失となり、賠償責任が生じます。

 

まとめ

ドライヘッドスパ業界は、黎明期からある程度、全国に普及するまで、美容師さん界隈から「ドライヘッドスパは髪が痛む」と言われていたのは事実です。

 

その他、マッサージによる危険性やドライヘッドスパのデメリットもご理解いただけたのではないかと思います。

 

決して、恐怖を煽るわけではありませんが、なるべく専門性が高いスクールの資格講座で学び安全な施術を行いましょう。

 


執筆者・江口征次

この記事の執筆者

一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会

理事長 江口 征次

ドライヘッドスパ・ヘッドマッサージの専門家

2010年よりヘッドセラピスト養成講座を開始し、日本全国、海外からも受講がある人気講座を主催している。

資格が取れるドライヘッドスパ講座